自衛隊の離婚問題
夫婦の中に自衛隊の方がおられる場合、通常の離婚とは違った問題が発生します。
当事務所は、岩国という土地柄から、自衛隊の方や自衛隊のパートナーの離婚案件は多く取り扱っています。
自衛隊の方は国防を担う極めて特殊な仕事ですから、特殊な制度や考え方が存在します。
自衛隊の方の特殊性を知らずに通常の案件と同じように事件処理をすると、適切な夫婦関係の清算ができない可能性があります。
自衛隊の方の特殊性
1 働き方の特殊性
相手が離婚に同意していない場合、離婚には離婚事由が必要になります。
離婚事由の一つに婚姻関係が破綻していることがあるのですが、通常の案件の場合、一定期間の別居があります。
しかし、自衛官の場合、単身赴任も多く、訓練等で数週間から数ヶ月程度帰宅できないこともあります。
このような場合、自衛官として職務による別居生活となりますので、別居が婚姻関係が破綻していることの表れといえるか、通常の事案より厳しい検討が必要になります。
2 充実した福利厚生
自衛隊の方は、その職務の重さから高い給与や、福利厚生制度の恩恵を受けていることが多いです(通常のレートより優遇された積立・保険、年金等)。
これらに対しては財産分与の対象となりますので、きちんと把握する必要があります。
3 早期退職制度
自衛隊の方は、退職時期が55歳と早期に設定されます。
その後雇用が継続されても給与体系がいままでとは大きく異なることになります。
4 退職金など
自衛隊の方の退職金などの支払い方法は特殊です。まず、退職金(退職手当)が退職日に支払われます。
また若年給付金が2回にわたり支払われます。これらについては、財産分与請求を検討する必要があります。
また、自衛官の問題として、何年先の退職金であれば財産分与の対象になるのかという問題もあります。
自衛官の場合は、退職金を受け取れる可能性は高いことから、退職するのが離婚の10年以上先であっても、財産分与の対象となる可能性があります。
このように、自衛隊の方が関係する離婚は、離婚にともなって考えなくてはいけない特別な事柄があります。
知らずに、適切な夫婦関係の清算ができないことの無いように、ご相談ください。